今年、私どもは24周年を迎えます。改めて振り返ると、日本人の観光のスタイルも随分と変わり、今ある多くのスモールホテルはその変化に合わせて成長してきた20年ともいえ、二期倶楽部もこのニュートレンドの中で、業績を伸ばしたのだと認識しています。その一方、ここ数年は〝100年に一度〟の恐慌といわれる経済不況下、消費者のモノ離れに歯止めが効きません。元セゾングループの総帥の堤清二(辻井喬)と社会学者上野千鶴子との対談集『ポスト消費社会のゆくえ』(文春新書)は、セゾングループの功と罪を分析しながら、消費社会が終焉を迎えつつある今、私たちは何を指標に社会を再構築していくか、その手がかりを探っています。また、ニューヨーク大学名誉教授の佐藤隆三氏は、アメリカの経済思想の潮流を踏まえ、冷酷な資本主義に対する「温かい資本主義」の復権を提唱され、新政権が打ち出した「友愛主義」の深化を論議すべきではないかと語っています。(日本経済新聞2009年10月26日)
そんな時代に、私たち宿泊業に携わる者も"ホスピタリティ産業"の持つ真の文化的価値に目を向け、実践することが大切だと、つくづく思っています。実は、ゲストもリゾート文化に今まで以上に深い関心を寄せているのです。それは、従来あった、単なるラグジュアリーな感覚を求めて優雅な非日常を体験するといった単純なものではすでになく、例えば、食べる体験の中に、素材や産地、その生産状況への関心、地球環境への共感、人間同士の親密なコミュニケーションといった、驚くほど多面的な文化創造の契機と興味を込めて、深い関心を寄せているようです。それはあたかも、日本に古来からあった総合芸術としての茶の湯の伝統が現代に甦った感がいたします。食を中心に生活文化の総合化をはかった、かの巨人、北大路魯山人が、お茶の宣伝にまで登場するほど人気者になったことも、皆様の記憶に新しいことです。
リゾートについても同様で、そこには、自然への愛着と同時に、普段の営みそのものを慈しみ、愉しみ、真の精神的欲求が込められるようなユニークな自己開発の場となっています。私ども二期倶楽部は、NPO法人アート・ビオトープと連携し、2008年よりサマー・オープン・カレッジ「山のシューレ」を開催させています。2009年夏は「環境・身体・言葉」をテーマに、各界で活躍しているクリエイターを招き、座学からワークショップまで行い、会期の5日間で1,000名近い方にご来場いただきました。2008年に比べて1.7倍に増えたのです。こうして着実に来場者数が伸びていることをみても、文化芸術的刺激によって、改めて五感を解放する、どうも現代人はそのようなことに活路を見出しているように思えるのです。
アグリツーリズムやヘルシーツーリズム等々のニューツーリズムが注目されている中、サマー・オープン・カレッジ「山のシューレ」が那須ロイヤルリゾートの重要な文化コンテンツになることを夢みて、さらに横沢地区を文化の聖地バイロイトに倣い、育て上げる大きな構想を描き、今夏の山のシューレの準備に奮闘中です。
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