自然と共振するスピチュアルな感覚が心を満たす

麻布から代々木上原に移ってようやく3年。住まい選びの条件は人それぞれでしょうが、私の場合は、近くに美味しいパン屋さん、気楽に立ち寄れるお蕎麦屋さん、帰宅途中にふらりと立ち寄れるおすし屋さん、さらに花屋さんがあると一層嬉しい。現在のところほとんど庭の草花で間に合わせているので、切り花を買うことは以前に比べると少なくなったものの、庭先に季節の花を揃えたセンスのよい花屋さんに出会うとつい立ち寄ってしまいます。
それになんといっても欠かせないのは近くに公園があることです。かつては美術館通いや映画三昧と外出することもありましたが、近頃めっきり出かけることも少なくなり、たまの休日には、自宅近くにある日本民芸館に立ち寄って、それから駒場公園周辺を散策しています。駒場東大校内の緑はとても豊かで、とくに桜並木は見事。のんびり歩いてみると本当に心から安らぎを覚えるから不思議です。人は、誰しも突然理由もなく、ふさぎ込んだりすることがあり、そんなときは無理をせず、ちょっと立ち止まって、何気なく過ごしている日常の時間に少々変化をつけるだけで、新鮮な気持ちになれるものです。
代々木上原に移ってからもうひとつ楽しみが増えました。自宅の庭でのガーデニングです。昨年購入した小さなスミレ鉢は、花を楽しんだ後に庭の片隅に植えかえたところ、ほとんど放ったままだったのに、スミレにしては大振りな葉には野性味があって、すっかり根づいていました。

そこで今、二期倶楽部のスタッフの間で流行している苔玉に私も挑戦。大きな角鉢にスミレを移植し、苔で表地を覆い、仕上げます。早速に友人にお届けしました。花を楽しんだ後、庭の片隅にでも植えていただけたか......。嫁いだ娘を案じるような気分になってしまいます。

こうして自ら庭仕事をしてみると、カルチャーセンターの講座に必ずといっていいほど「ガーデニング」が組まれるほど流行っている理由もわかりますし、ヘルマン・ヘッセが庭から学んだ自然と人生の心理を綴った『庭仕事の愉しみ』が見直され、またチェコの生んだ有名な作家カレル・チャぺックの『園芸家12ヵ月』が再版を重ねている理由もちょっぴり理解できたような気がします。

私たちは、植物や自然からえもいわれぬエネルギーをいただき、なにかしらとても大きな生命の源に触れることによって、人間が生かされているような気がするのは私だけではないようです。

[2009.10.21]

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