本と遊ぶ「アートラリー」スタート

5年前の七夕の日、松岡正剛さんの「千夜千冊」が成就しました。Web上に、第一夜の『雪』(中谷宇吉郎)にはじまって、千夜の『良寛』まで、毎夜一冊の本を取り上げ、それを一千日続けた、いわば本の千日回峰でした。

sanka.jpg「千夜千冊」を後世に残そうとするプロジェクトが『松岡正剛千夜千冊(全七巻)』(求龍堂)。Web上に書き留められたブックアーカイブを松岡さん自身が全面加筆の上、資生堂名誉会長の福原義春氏のアートディレクションに加え、写真家十文字美信氏が参加、グラエーションが施された表紙に「松岡正剛 千夜千冊」の美しいタイポグラフィーの文字が配された、シンプルでありながら文字と配色の美しい装丁になっています。
続くプロジェクトが「千夜三千冊・燦架」です。「空海がつくった東寺の立体曼荼羅のように、千夜千冊の世界を空間的に表x現したかった。ただ並べるだけでなく、自在に組み合わせる形がないと千夜千冊が表現できない」。故牧浦徳昭氏と開発したオリジナル書棚は、木材と金属とガラスと和紙を組み合わせた構造をもつもの。デザインを担当した建築家の山中祐一郎さんたちと何回ものミーティングを重ねて、ようやく完成。松岡さんに〝燦架〟と命名いただきました。

sanka2.jpg「燦架」は既存の書架の概念を越えるものとして、書物を収める単なる棚ではなく、書院の床の間のようなひとつの舞台と捉えました。専用のスタンドに一架据えて書物と工芸品などを収めれば個人の表現の場となり、必要に応じて数架組み合わせて住空間に配すれば手ごろな家具となり、多くを集積すれば曲直自在の壁や塔をなす、たちまち新しい空間を生みだし構成することができます。いわば、コンテンツによってカタチを変え、カタチがコンテンツの位置づけを再定義することを可能にする棚であり、その仕組みといえるでしょう。
今夏サマー・オープン・カレッジ「山のシューレ」において催された「光の動く庭―――本と遊ぶ」では、燦架を使ってアートが出会う「本のミクロコスモス」展では、オリジナルの書棚「燦架」に、「山のシューレ」に参加した講師陣が今年のテーマで選出した3册の本をコメントと合わせて展示しました。千鳥ヶ淵の册ギャラリーでその巡回展を予定。また、この秋、「アートフェスタ那須'09」では、地域の方と協力し、「本に遊ぶ アートラリー」を計画しています。

来年2010年は読書年。子ども達の、日本人の本離れが進んでいると聞くと、本によって、読書によって育まれてきた世代にとっては、悲しいと思うと同時に、改めて読書の素晴らしさや楽しみを共有できる土壌や機会をつくることの必要性を感じています。「燦架」やこれを核とした催しがその一助になればと願いつつ、今後も「燦架」の可能性をさらに広げたプロジェクトを進めてゆきたいと考えています。

[2009.09.18]

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