今、若い人たちから注目を集めている経済評論家の一人に勝間和代さんがいらっしゃいます。外資の投資会社などでのキャリアを持ち、独立後に著した『断る力』がベストセラーに。著述、テレビ出演、政府関係の委員などと、八面六臂の活躍ぶり。三児の母親でもあり、移動手段は自転車を使うなどエコな面を見せる、〝旬〟な一人です。
先日、この勝間和代さんがレギュラーでお書きになっている新聞記事を拝見しました。「人生を変えるコトバ」というコーナーです。(朝日新聞2009年5月2日)「幸せの総量は与えた幸せの総量で決まる」。勝間さんのオリジナルで、自らの経験や人とのお付き合いの中から生まれた得心の言葉だそうです。記事中には、私たちは、何かを成し遂げたい、という動機付けで生きていて、その動機は「自分がやりたい」「他者から命じられた」という軸と、「自分を喜ばせる」「他者を幸せにする」という軸に分けられ、2×2=4通りの組み合わせがあるとおっしゃっています。なかでも、「自分がやりたい×他者を幸せにする」ことが、最も継続的に努力を続けられると。つまり、自分を幸せにしてほしいと周りに求めるのではなく、自分で周りの人に何をしたら喜んでもらえるだろう、と逆に考えていくほうが、実はずっと簡単に、安定して、自分が幸せになれると結んでいます。
私たちおもてなし業は、ゲストの喜びが自身の喜びに直結していることを実感できる職業でもあります。そのことに改めて幸せを感じます。お客様と私たちが「二期倶楽部」という場(触媒)によって、触発しあう関係を築くことが大切で、お代の対価としてのサービスではなく、ほんとうにお客様に喜ばれることを自らの喜びにできる真のホスピタリティのあるおもてなしが必要なのです。
21世紀を迎えた今、そろそろ新しい価値基準にもとづいたビジネスモデルや暮らしが生み出されてもよいように思えます。「経済はサービス経済からホスピタリティ経済にシフトしなければならない時代になってきたのではないか。ホスピタリティは近代を超える知のキーワードになる」(資生堂名誉会長福原義春)
最近、ホスピタリティのセミナーも目立ち、その背景には、さまざまな危機に直面している21世紀の地球人は、人間ルネサンス、人間性の回復を迫られているということでしょう。環境=場や肉体を再発見しながら、文化的、芸術的刺激によって、自然につながる新たな五感を開放する。そのようなことに多くの人々が活路を見出しているように見えます。
本来、観光の姿は巡礼の旅に象徴されるように、人との交流による創造活動であったはず。その地を訪れる観光客=ゲストは、地域住民と接遇者との交流を通して情報が交わり、互いに気づき合い、学び、人間として深めていく。そして結果として、地域の産物や産業が起き、経済も動いていく......。
今夏2回目を迎える「山のシューレ」。新しい文化ツーリズムにひそかな可能性を感じながら、その準備に追われる毎日です。
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