「遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生まれけん 遊ぶ子供の声きけば 我が身さえこそ動がるれ」
「仏は常に在りせども 現ならぬぬぞあわれなる人の音せぬ暁に ほのかに夢に見え給ふ」
『梁塵秘抄』を詳しくご存じなくても、これなら諳んじているという方もいらっしゃるかと思います。この『梁塵秘抄』は、平安末期、後白河法皇(1127~1192)が編んだ歌謡集で、主として『今様』(今でいう流行歌や歌謡曲にあたるのでしょうか)と呼ばれる声楽の歌詞を集大成したものです。 5月22日、東京・深沢にある茅葺きの小さな日本家屋「梅寿庵」で、久方ぶりに桃山晴衣さんの『梁塵秘抄』の世界を堪能する機会を得、初夏の緑を愛でながら、桃山さんの生み出す「日本のうた」と「三味線の音色」、そしてお料理、お酒、語らいを存分に楽しみました。
「梅寿庵は、かつての良き日本と新しい息吹を感じさせる、厭味のない繊細な造りの家屋。現代の<日本のうた>や三味線の真髄をじっくり味わえる、稀有な場です」と桃山さんがおっしゃるように、『梁塵秘抄』のうたや三味線の音色が、日本家屋に響きわたりました。その夜の桃山さんのいでたちは、緋色の蹴出しでしょうか、長襦袢でしょうか、裾から覗く緋の色がとても鮮やか。帯に下げられた赤色のアクセサリーは、幼い頃遊んだお手玉だそう。桃山さんという身体を通して『梁塵秘抄』が観る者の身体に沁みこんでくるようで、心の中に残響と残像がいつまでも残り、ゆったりと流れる初夏の夜のひと時でした。
「遊びをせんとや生まれけむ」
まさに、この言葉通り、遊びをするために生まれてきた子供のように、私を含めた参加者全員が『梁塵秘抄』を十二分に楽しみました。

二期倶楽部20周年記念 石舞台にて
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