ヨーロッパを訪れると、小さな街に必ずといっていいほど美術館と教会があることに気がつきます。それほどまでにヨーロッパではアートと宗教が密接な関係にあり、いずれもが市民生活に定着していることを示しているといえるでしょう。
また、過去のアートだけではなく、現代アートなどに対する理解も深く、それらをコレクションする美術館やギャラリーも、フランスのボルドー地区にあるボルドー現代美術館をはじめ、世界各地に見受けられます。

また、数年前訪れたロンドンにあるテ-トモダンもそのひとつで、古い発電所を改装したという建物はそれ自体がモダンアートのよう。よくあるような時系列的な展示ではなく、独自のジャンルによる展示方法を採っていることや、洒落たデザインの美術館グッズ、ゆっくりと飲食が楽しむことのできるカフェやレストラン、さらにはテムズ河畔をクルーズするボート......。オープンから2ヶ月で100万人の入場者を超えたのも納得できるエンターテイメント性に優れた施設になっています。アートを起爆剤とした国主導による文化戦略と位置づけられたテ-ト・モダンの成功は世界から高い評価を受けています。

日本においても、こうした変化がようやく現れはじめました。都知事選でも話題になった建築家黒川紀章さんの設計による国立新美術館、弁慶橋から東京ミッドタウンに移ったサントリー美術館がその代表です。国立新美術館は、美術品を所蔵をしないことで有名になりましたが、ポール・ボキュ-ズのレストランをはじめ、カフェなどを用意したことで美術館の新しいスタイルを提起しています。また、サントリー美術館は、多くの施設が複合的に入った東京ミッドタウンに入居したからこそ鑑賞前後の楽しみをぐんと広めています。このゴールデンウィ-クには多くの男女のグループやご夫婦が、ふたつの美術館の近くにある私の事務所周辺を行き来する姿を拝見していると、日本にも文化が市場をリードする時代がやってきたことを改めて実感しました。
当社の、この春にオープンした「アートビオト-プ那須」は、自然との触れ合いを大切にしながら、陶芸やガラス工芸を楽しみむ体験学習型長期滞在カルチャーリゾートホテルです。滞在する数日間の間に、例えば自ら使うフルセットの器づくりにチャレンジする、もう一歩進んで作家とのワークショップに参加して、自らのステージをアップさせるなど、これまでにない新しいアートとの関係を作り上げる"場"になることを願っています。
戦後60年を過ぎ、私たちの生活は想像を超えて豊かになった今、人々は物の消費よりお金で買えない価値あることを求めているようにも見えます。
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