「ゲニウス・ロキとは、結局のところある土地から引き出される霊感とか、土地に結びついた連想性、あるいは土地がもつ可能性といった概念になる。」(『建築の七つの力』鈴木博之著/鹿島出版会)
*ゲニウス・ロキ:地霊
東日本大震災より、早半年が過ぎました。未曾有の被災の中にあって、皇室の方々のお見舞いをする姿に、私たちは、どれほど力づけられたことでしょう。なにもかもが流されてしまった街をじっと見守り、静かに黙とうをささげるお姿、膝を折り、被災者の方お一人おひとりを癒されるかのようなまなざしでお見舞いをするお姿、そして皇后陛下は、被災者の方が差し上げた水仙を帰京の機中、皇居に帰られるまで、ずっとお持ちになっていたと聞いています。皇室の方々の私心のない、国民を思う慈愛に満ちた優しさに一人ひとりが包まれたかのようなエピソードのひとつでした。
こうした皇室の方々のお姿は、昭和天皇の行幸とイメージが重なります。敗戦後の日本、全国を歩かれた昭和天皇の行幸により、国民一人ひとりが勇気づけられ、戦後の成長の精神的な礎が形づくられたといっても過言ではありません。大正13年(1924年)ご成婚された昭和天皇のために建てられた最初の那須御用邸は、大正15年(1926)に竣工していますから、那須御用邸はまさに昭和の歴史そのものといってよいでしょう。昭和天皇のご著書『那須の植物誌』の序文には、「去年、夏を那須で過ごす。(中略)それをしあわせとして、付近の自然を楽しむことにしている」と書かれるほど、那須を愛されていたのです。
この夏、天皇・皇后両陛下をはじめ皇室の方々は例年と同じように、那須でご静養いただきました。天皇・皇后両陛下は、静養中の7月27日に御用邸の一部を開放した「平成の森」を散策され、8月に入ると、皇太子ご一家が8月11日から8月末まで那須に滞在されました。その間二期倶楽部でお食事、アート・ビオトープ那須では、皇太子殿下が吹きガラスでグラスを、雅子妃殿下と愛子様はバナーワークでトンボ玉つくりを体験されるなど、私どもの施設を含め、那須各地をご訪問、お楽しみになされたようです。そのお姿がマスコミを通じて多くの国民に知らされたことは、被災地でもあり、その後の風評被害に遭っている宿泊業を営む私どもにとっては、鎮静化する放射能の数値以上に、何百倍、何千倍もの安心と安堵をいただいたような気がしてなりません。
今後も、こうした天皇・皇后陛下、皇太子ご一家、秋篠宮ご一家族が那須においでになり、折りに触れては那須の自然や人々と親しまれるご様子を拝見することによって、また全国に伝えられることよって、那須の地域価値の再認識や郷土愛を育むことにもつながると思うのです。そして今、私たちは「ロイヤルリゾート」というキーワードをひとつの柱として大切にしながら、那須復興、那須再生への一歩を歩み始めました。
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